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当寺院では、月に一度皆様にわかりやすい法話、

「いまの幸せをしっかり生きる」

掲載日: 記事No.69

皆様のご家庭でこんな親子のやりとりはないでしょうか。

子「なんで、ぼくは塾に行かないといけないの?」

母「将来、良い中学に入り、良い高校に入るためなのよ。」

子「どうして良い高校に入るの?」

母「それは、良い大学に入り、大学を卒業したら、良い会社に入れるからでしょう。良い会社に入れたら、幸福になれるのよ。だから、将来の幸福のために、あなたは今、塾に行かないと入れないのよ。」

これが世の一般的な親の考え方ですよね。けれども、しばらく考えて、この小学生のお子さんが言いました。

「でも、お母さん。ぼくは今、塾になんか行かない事の方が幸福なんだけど……」と、

私たち大人は、この小学生の言葉に真剣に耳を傾けるべきだと思いませんか。私たち大人はいつのまにか、「将来」のことばかり考えるようになっているのではないでしょうか。

将来の利益・幸福のために、現在を耐え忍んで生きる。そんな生き方が、多くの日本人は「正しい」生き方のように思っているように思います。

でも、考えてみてください。もしもこの小学生が中学1年で死んでしまったらどうでしょう。先日の台風で亡くなられた小さなお子さんの親御様の悲しい心痛なお気持ちは如何なものでしょうか。思いがけずに世を去ってしまった子どもたちは一度も幸福になれないまま一生を終えるのです。

 

フランスの思想家ルソーの言葉に『たとえその子の将来の利益になるといっても、その子の現在の幸福を犠牲にするような教育を行ってはならない』とあります。

「子育て」の目的は、子どもの現在の幸福をしっかりと護ってあげることです。

 

お釈迦さまはこの様におっしゃっておられます。

『過去を追うな。未来を願うな。現在をしっかりと生きよ』と、もちろん、わたしたちは親心から我が子の未来のことが心配になります。「このままだと、将来に困るようなことにならないか?」と、その結果ついつい子どもに干渉してしまいます。

こうした私たち親の気持ちはもっともですが、お子様の「いまの幸せをしっかり味わいつつ生きる」事がもっともっと大事な事ではないでしょうか。

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