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「くふうする生活」

掲載日: 記事No.86

もう、40年近く前になります。私が大阪で修行をしていましたころ、師匠に連れられてパナソニック(松下電器)の創業者、晩年の松下幸之助様にお会いする事ができ、色々とお話しを伺う事ができました、その時、当たり前の話しなのに「目から鱗」ではありませんが随分感激いたしました。今回からしばらく、その幸之助様のお話しをさせていただきます。内容はPHP出版の「松下幸之助の一言」に掲載されたものと同じですのでご興味がありましたら是非ご購入下さい。

 

第1回 「くふうする生活」

とにかく考えてみること、くふうしてみること、そしてやってみること。失敗すればやりなおせばいい。やりなおしてダメなら、もう一度くふうし、もう一度やりなおせばいい。

同じことを同じままにいくら繰り返しても、そこには何の進歩もない。先例におとなしく従うのもいいが、先例を破る新しい方法をくふうすることの方が大切である。やってみれば、そこに新しいくふうの道もつく。失敗することを恐れるよりも、生活にくふうのないことを恐れた方がいい。

われわれの祖先が、一つ一つくふうを重ねてくれたおかげで、われわれの今日の生活が生まれた。何気なしに見のがしている暮らしの断片にも、尊いくふうの跡がある。茶わん一つ、ペン一本も、これをつくづくと眺めてみれば、何というすばらしいくふうであろう。まさに無から有を生み出すほどの創造である。

おたがいにもう一度考え直そう。きのうと同じことをきょうは繰り返すまい。どんな小さなことでもいい。どんなわずかなことでもいい。きのうと同じことをきょうは繰り返すまい。多くの人びとの、このわずかなくふうの累積が、大きな繁栄を生み出すのである。

 

「失敗とくふう」、この話しをお聞きしたとき、そうか、失敗ばかりしている自分だけと工夫が足りなかったんだ。よし、もっと工夫するぞと決意したものです。

今、日本では環境が変わり、失敗をしないようにする風潮、あるいは失敗をしなくてすむ環境が整いすぎている気がします。失敗しなければくふうせず、くふうなければ新たな改革が起こらない。日本が世界に取り残されている事を心配しております。

若い皆様には「Fail fast. And move forward quickly.(早く失敗しなさい。そして、早く前進しなさい。)」とお伝えさせていただきます。

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