先日、母が大変親しくお付き合いさせていただきました、愛媛の国民詩人、故坂村真民先生の坂村真民記念館に23年ぶりにお伺いし、三女の西澤真美子さんと旧交をあたためました。
詩人の板村真民さんの詩に『手』という詩があります。こんな詩です。
両手を合わせる
両手で握る
両手で支える
両手で受ける
両手の愛
両手の情
両手合わしたら
けんかもできまい
両手に持ったら
こわれもしまい
一切衆生を
両手に抱け
とかく私たちは器物を片手で持つから、落としたりなどの粗相をするのです。だいだい片手の手だけで処理するのは、その器物を愛していない証拠です。
茶の湯の利休さんは、
何にても置きつけかえる 手ばなれは恋しき人にわかると知れ
と両手で物をささえ下に置いて、その手をはなすときは、道具とではなく恋人との握手を解く思いでせよ、と門人に教えをしています。
この心ですべての人を両手で抱くなら、人間関係は滑らかにいくのは明らかです。
この両手を合わせると、信と敬と愛とつつましやかな合掌となります。
また、古い道歌はうたいます。
右ほとけ 左衆生と 合わす手の中にゆかしき 南無のひと声
人生を大切に生きる。
どうぞ、皆様、それぞれの人生を、この「両手で持つがごとく」、一日一日を大切に過ごされます事を願っています。