今回は曹洞宗の高名な僧侶、酒井大岳氏のお話を紹介させていただきます。
これは、酒井氏のもとに送られた200編ほどの詩の1編、当時、草津中学校(群馬県)3年生の森田佳代子さんの詩です。
「おそろしいこと」
困難にぶつかることよりも
人にうらぎられることよりも
つらいことよりも
悲しいことよりも
苦しいことよりも
もっとおそろしいのは
あきらめてしまうこと
そこですべてが終わってしまうから…
すごい、と思い、心を打たれました。
何事も途中であきらめてしまったら、そこですべてが終わってしまいます。中学三年生でこういうことが言える、そのことにも深い感動を覚えました。
この詩を知ったその直後、あるテレビ局が「夏休みを迎える子どもたちへ」という番組を企画し、何か話を、と言ってきたので、わたしはテレビでこの詩を紹介し、全国の子どもたちに、あきらめないでこつこつやり遂げることの大切さについて話を聞いてもらいました。多くの子どもたちからテレビ局をとおして手紙を寄せられ、この詩を書いた紙片を財布の中に入れておくとか、試合前にはかならず口ずさんでいるとか、そんな嬉しい便りにわたしのほうがむしろ勇気づけられていました。
酒井 大岳
如何でしょうか。3月の卒業式に来賓としてよばれる機会の多かった私は事あるごとにこのお話しをさせていただきました。皆さん「夢」に向かってという祝辞を述べられますが、そのためには「あきらめない」ことなんですね。
「あきらめる」ことは「おそろしいこと」として一番に胸に刻んで、新高校生・新大学生・新社会人として新しい門出を迎えていただきたいものです。
4月より新システムに移行しました。