男女平等、ジェンダーフリーの時代でありますが、今回は男子と母親の関わりについて大変参考になるお話しを紹介させていただきます。
巣鴨学園理事長・学校長、堀内政三先生の実体験にもとづいた次の様なお話しです。
うちの生徒の通学時間を、調べると大体が一時間前後。大概関東圏内から通学していますが、中には静岡や長野から新幹線で通ってくる生徒もいます。片道2時間かかる生徒が結構いるんです。それでも寒稽古の出席率は90%以上。6年間精皆勤者は何十人もいるんです。しかし、その裏にはご家族の協力があることを忘れてはいけないと思っています。
保護者会で伺ったところ、息子を寒稽古に行かせるために午前3時起きしているお母さんが、なんと二百何十人もいたんです。
私は長く教育界にいますから、いろいろな人物を見てきました。大学時代からの学者との付き合いもありますが、一流の男子の背景には必ず母親からの影響があります。これは間違いないんです。みんな母親のことを言いますよ。
親孝行という言葉がありますね。親は父親と母親がいますから、両方に孝行することが親孝行だとみんな教えている。これは間違いではないけれども、男子には本当の親孝行は母親にすることだと私は生徒たちに教えています。ただし父親は無視しない、と。だって子供は父親の背中を見て育ちますが、母親とは正面合体でしょう。敵うはずはないんですよ。
私の親友に戦争末期にインド攻撃の隊長を務めた男がいたんです。彼はビルマの密林を通ってインド兵と合戦しようとした時、終戦になったんですが、密林の中だから日本と連絡も取れないし、補給もない。サルの肉まで食べて
を いだそうですが、200人いた部下は次々と死んで最後に残ったのは5人くらいだったそうです。髭も髪も伸び放題、毛むくじゃらでやせ衰えた兵隊たちがいよいよ事切れる時、「「天皇万歳!」と言った兵隊は、1人もいない、「父ちゃん!」なんて言ったのも1人もいない。最後はみんな「母ちゃん‼」って叫んだそうです。私はこれこそ真実だと思います。
こういう話を踏まえ、私は保護者会の席で、「親孝行とは母親孝行である。しかし、孝行される母親になるには条件がある」と言っています。息子が中高校生時代は「鬼ババア」になることです。
女性は子供を産めば、みんな教育ママになります。おっぱいをあげるだけなら犬やサルでもできます。むしろ動物のほうが親子関係は密接なんですよ。子供の首を絞めたりしませんから。では子供を育てる、教育するとはどういうことか。それは、「将来の成長のために少しずつ無理をさせる」ということです。これが巣鴨学園が掲げる「努力主義精神」の神髄ですよ。
子供が頑張ってここまでできた。「ああ、よくやったね。じゃあ次はここまでやってみよう。もっとやってみよう。」と少しずつ無理をさせる。「ああ、よくできたからもういいよ」では、そこで成長は止まってしまいます。「お母さん、まだやるの?」と子供が弱音を吐いたり、泣き言を言ったら「そうだよ」と言う。
それが鬼ババアです。鬼には赤鬼、青鬼いろいろいますが、人間の鬼は神様の別名です。鬼瓦は悪魔を退治して家を守るために家に飾られています。だから中高校正の時代は子
供に「鬼ババア」と思われてもいいんです。男の子は必ず、「母は神様だった」と気づく時がくるんです。
いかがでしょうか。お母様、元気が出てきましたか。日本の将来は皆様にかかっています。男子をお育てのお母様には是非、素敵な「鬼ババア」になってお子様を信じ、お育て下さい。