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当寺院では、月に一度皆様にわかりやすい法話、

回  心 -えしんー

掲載日: 記事No.44

福田寺では関連する幼稚園、木田幼稚園で毎月「ないおん」という仏教の精神を教育に取り入れた新聞を幼稚園の保護者や地域の皆様に配布をしております。今 月は九州の西蓮寺の女性住職、川村妙慶さんの法話を紹介させていただきます。この川村さんは分かりやすく仏法をお話しされたり、書籍として出版されている 素敵な女性です。書店で川村さんの本が目にとまりましたら是非ご購読いただきたく思います。

では、「ないおん」のコラムより法話「回心」についてのお話しをご紹介させていただきます。

私は、北九州の真宗大谷派、西蓮寺という寺の娘として生まれましたが、全く仏教に関心がありませんでした。高校2年生の時に住職である父がなくなりまし た。一つ上の兄がいましたから、「兄ちゃんが当然継ぐ」と思い込んでいたのです。しかし、兄は住職になるという重圧に耐え切れず、引きこもりになりまし た。
住職がいないという不安からご門徒さんはすべて去って0件になってしまいました。母は、お寺をここで途絶えさせるわけにはいかないと、私が住職になる事を期待していました。
抵抗があった私は、華道を学ぼうと池坊短期大学へ入学しました。
ある日、師匠から「あなたはお寺の子なのになぜ仏教を勉強しないの。花をいけるのも皆、心よ。」といわれました。他人からいわれた言葉に恥ずかしいと思いました。

自分の考え方がひっくり返される事を「回心―えしん―」と言います。

そこで、大谷専修学院という全寮制の学校で仏教を学ぶ事にしました。
ある日、担任の先生は私の顔をみて「川村!本当は辛いんだろ。なんで素直にさらけだせないのか?親鸞聖人は賢い自分を出せとおっしゃってない。むしろ煩 悩具足の凡夫である私を生きよと教えてくれたんや。完成された人間になるためここに来るのではない。背中に背負っている業(心の荷物)を仏さまの大地に置 いてみたらええやないか。そして皆でその荷物を点検していこう。お前一人で解決するな。必ず後はおまかせしよう。何とかなっていくから」とおっしゃいまし た。
私はこのとき、自分ひとりでできる事は何一つないという事を教えていただいたようでした。望みもしなかった僧侶の道も、遠回りをしながら、気がついたら 僧侶にならせていただいていました。どんな事も阿弥陀さんの目にみえない「はたらき」により落ち着くところへ落ち着かせていただいたのだと思っています。
失敗し恥をかいて人は成長していくのです。「回心―えしんー」、ひっくり返されて視野が広がっていくのですね。

如何でしたか、きっとお分かりいただけた事と思います。このお話しは皆それぞれが、「いただいた命」を精一杯生きる。その後は阿弥陀様におまかせ。最初から怠け心や、物事に真剣に向き合わないで逃げてしまう事ではないということです。

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