9月のお彼岸の頃に、浄土真宗の寺院では永代経法要がお勤めされます。永代経法要、お彼岸については3月の『法話』をご覧下さい。
ご門徒さん宅での法要では、お内仏に法名軸を掛けて頂くか、過去帳を開いて頂くか、繰り出しをご用意して頂きます。寺院での永代経法要は、余間(よま)に法名軸(ほうみょうじく)を掛けます。この法名軸には、お寺が葬儀法要をお勤めした方の法名が書かれています。
よく『戒名(かいみょう)』と『法名』を混同されますが、真宗は『法名』と称します。
『法名』とは、生前に帰敬式(ききょうしき)(おかみそりとも称す)を受けられた人に授けられる大切な名前です。仏弟子の名のりを表します。ちなみに、日常生活で使われる氏名は、俗名(ぞくみょう)と称します。
真宗大谷派における法名は、全て「釋○○」「釋尼○○」というように、お釋迦様の「釋」の字を冠したあとに、2字を名のることが伝統とされています。
これは、「釋」の字をもって「釋迦、諸仏の弟子」の一人になったことを意味し、生涯、お釋迦様の教えを依り処にして歩むという真宗門徒としての決意を表し ています。仏の教えに帰依する人びとは、世俗の名前とは別に「釋○○」「釋尼○○」という法名を名のり、仏教の教えを自らの人生の方向を定める指針とした のです。このように、本来、法名とは生前に頂くべき仏弟子としての名前なのです。
一方、『戒名』とは、「殺さない、盗まない、嘘をつかない、酒をのまない」などの多くの戒律を守ることを誓い、実践して守る人に与えられる名前です。
親鸞聖人は、戒律を守り得ない煩悩の身のままに仏の本願を聞いていく歩みを大事にされました。それ故、親鸞聖人は、生前に仏弟子の名のりである「法名・釋親鸞」を名のっておられました。
「法 名」について
掲載日: 記事No.18