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「欲をもって 諸法の本となす」 『華厳経』

掲載日: 記事No.11

昨今の経済情勢の悪化、金融危機といわれる事態は、一部の強欲な人々のお金儲けのせいであるといわれています。日本でもある人が、「お金儲けは悪いことで すか?」と言っていたように、昨今の拝金主義では、お金儲けを人生の一番の目的と考える人がいても不思議ではありませんね。また、ただ単に「人生を面白く 楽しく過ごすこと」「良い生活をしたい」と思う人もいるかもしれませんね。このような事を仏教では「貪欲(とんよく)」といって大きな煩悩の一つとしてと らえています。
仏教というと、煩悩を断ずるとか、空とか無我というイメージが強く、欲を否定する教えだと思われがちです。しかし、私たちの欲を消してしまうのではなく、少し難しいのですが、私たちの「最も深いところにある欲」を見いだすのが仏教というものなのです。
仏教では、「欲」は善いものでもでも悪いものでもなく、欲ということが「生きている」ことの根源であると教えられています。「この人生において誰とも代わることのできないかけがえのない命を生きたい」という欲をもって人は生まれてきたのだという教えです。
仏教では、人間の欲望を否定します。反面、人間の欲をもっとも大切にもしています。それは、仏道を求めることも私たちの「欲」を根とするからです。それ故、このような言葉で教えられています。
「欲をもって諸法の本となす。まさに清浄の欲を起こして、無上道を志求せよ。」
この教えの意味は、「意欲こそあらゆる存在の根本になるものです。だからこそ『清浄な意欲』を起こして、かけがえのない命を求める人生を送れ!」という事です。我一人という我欲を捨て、世の為、人の為となる欲を持ち、本当に充実した人生を送っていただきたいものです。

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