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いのちといのちのであい 「培其根(ばいきこん)」

掲載日: 記事No.9

明治四十五年に生まれ、平成三年不慮の事故によって七十九年の生涯をとじられた東井義雄先生は、たくさんの本や詩をお書きになり、それを読んだ多くの人たちの心に、大きな影響をあたえました。
その東井先生がよくお話しをされていた言葉にこんな言葉があります。
「根を 養えば 樹はおのずから育つ」
これは、常にこどもたちのいのちと心を見つめながら生き続けた教育者であり、念仏者であった先生の持論です。
「なんとも言えないよい人柄の子どもというものは、放任の中からもちろん生まれませんし、干渉のし過ぎからも生まれるものではありません。なんとも言えない、温かな、心豊かな家庭の雰囲気の中で育つもののように思われてなりません。」
子どもたちを、素晴らしい人間に育てあげていくその原点は家庭にあるのだ、と言い続けていた先生は、「大人が病んでいるから、子どもが病むのだ。」と、心を痛め続けておられました。
見えないところで、見られることを期待せず ひたすら、はたらいている根。それに支えられ、養われ、天にそびえる大樹があり、花が咲き、実が実を結ぶ 「培其根」
「培其根」とは、根っこさえ、しっかりとしておれば、その根っこにつながる大きな幹も枝もまちがいなく育つのだ、というのが先生の子どもを育てる原点のお考えでした。
また、先日お話しを伺った曹洞宗、特別尼僧堂堂長の青山俊董師も同様に「下農は 雑草をつくり 中農は 作物をつくり 上農は 土をつくる」とよくお話し され、「子どもを育てる土である家庭をどんな家庭にするかということが、いちばん大切です。父も母も、子どもたちの土であってほしいのです。子どもは生き ている、呼吸している、まばたいている、それぞれがそれぞれに、心をもっている。いのちの素晴らしさへの信なしに、子どもを育てることはできないので す。」
お二方ともに、幼い子どもを育てる大切のことを通して現在の日本の社会へ警鐘を鳴らされています。

秋葉原の連続無差別殺人事件など、ますます社会の崩壊がすすむ中、今一度、我々大人のあり方、子供との向かい方を真摯に考え、社会に対して実践することが早急に必要ではないでしょうか。

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