辛丑改歳(かのとうしかいさい)の令辰(れいしん)を祝し、謹んでお慶び申し上げます
新しい年を迎え、年賀葉書やテレビなど、いたるところで「おめでとうございます」という言葉が使われています。無事年を越して、新年を迎えることができ、
いという意味でしょう。ですが、一つの区切りを越したと考えれば、毎年やってくる、新年を無事越すことが出来たという意味では、「おめでとうございます」と言うのは至極当然ですね。
さて、皆さまご存じのテレビアニメで有名な一休さん、正式には一休宗純という有名なお坊さんの逸話です。ある裕福な商人が、孫ができたお祝いに、何か目出度い言葉を書いて欲しい、家宝にするからと、一休禅師のもとを訪れました。
こころよく引き受けた一休禅師の書いた言葉は、なんと「親死ぬ、子死ぬ、孫死ぬ」という言葉でした。目出度い言葉をお願いした商人は、カンカンに怒って、「死ぬとはどうゆうことだ」と一休禅師とを問いただします。すると一休禅師は「では、あなたは、孫死ぬ、子死ぬ、親死ぬの方がいいのですか」と聞き返したそうです。ますます怒って帰ろうとする商人に、一休禅師は続けて「親が死に、子が死に、孫が死ぬ。これほど目出度いことがあろうか、これが逆になったらどうする」と、諭したそうです。
この逸話のように私たちの運命は、順番通りに死ぬことができるかどうかわかりません。世の中には子どもや孫の葬式を出してやらなければならなかった人もいます。何と悲しく切ない悲しみでしょう。そもそも、この順番というものものが最初から無いのです。この無常の世界の中、「当たり前が当たり前でない」事を心にしっかり刻み、1日を感謝し悔いなく過ごしたいものです。