震災に続き、台風12号の甚大な被害。「災難」にあわれた多くの人々にはただただ「忍」の生活と心よりご心配申し上げます。さて、この「忍」の字には「認 める」という意味がございます。人は誰しも「災難」などには遭いたいと思いませんが避けて通れないのが人の世です。幸いにして「難」がなければ「無難」な 人生、反対に「難」があれば「有難い」人生。苦しみ、悩む事によって人の傷みに共感し、自分自身の心の深みが増していくのではないのでしょうか。
現世のことをよく「浮世」と申しますが、まさに柱のない吊橋のような不安定な現世です。特に今の日本の状況は「真っ暗」な時代そのもののように思われま す。しかしながら、暗いからこそより明 るく、我々は生きなければならないのではないのでしょうか。「キャンドル」を使っての式典がいろいろな場面でみら れますが、これは真っ暗な中でも誰か一人が灯を持ち、その灯をリレーすることで全体を明るくしていくものです。
「法華経」というお経の中には、灯を伝えることにより、自分の足元からだんだん明るくして、やがてまわりの人の足元も照らしていくという内容が書かれてい ます。それぞれが是非、その最初の灯を掲げ、世の中全体が我々自身によって「明るく」照らされることを深く念じております。
災難を受け止める
掲載日: 記事No.31