寺院紹介 | 福田寺　真宗大谷派木田山　愛知県あま市

社会が混迷をし、未来が見えない、人々が苦しい時代にこそ、仏教は光り輝き、福田寺は世のために
行動をしなければならないと考えます。

・「社会への奉仕」ができるお寺でありたいと考えます。
・「命や心の育み」ができるお寺でありたいと考えます。
・「やすらぎ」が感じられるお寺でありたいと考えます。

前住職の突然の病死にともない1988年より福田寺、第16世の住職に就かせていただきました。
私は、寺の存在はただ教義、経典の教えを法話として皆様にお伝えするのでなく、「実体験を通した実践」として世の中に少しでも奉仕することこそが真宗の僧侶、寺としての今後の在り方であると考えております。それは以下のような体験・ご縁があったからです。
1992年にはアメリカ東海岸およびハワイの病院、介護施設を厚生省、医者、心理学者、新聞記者、僧侶のグループでまわり、ターミナルケアとしての末期癌、エイズの問題などを調査し、今後来るべき日本の高齢社会において尊厳死の問題にどう取り組むかを研究してまいりました。
当時のアメリカでの医学会は、「死は医者の敗北」という考え方から、「いかに人としてその尊い命を終えさせるか」と方針を変化させていました。
そんな中、最下層の人々の受け皿として機能するマザー・テレサの病院で余命数日の老黒人のエイズ患者に「私のために祈りをささげてほしい」と乞われ、私は、修道女の方々と合同で祈りをささげました。
日本では経験したことのない突然の申し出に戸惑いながらも、「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」と唱えると、老黒人は「私は幸せだ。キリストの神と仏教の仏に加護されて旅立つことができる」と恐ろしい苦しみのはずの中、満面の笑みを浮かべ涙を流してよろこんでくれたことを今も鮮明に覚えています。
また、1995年、真珠湾にて太平洋戦争終結50周年戦没者慰霊法要を行う目的でご門徒の皆様25名でアメリカ、ハワイ州ワイメア東本願寺別院を訪問した折には、現地の親や子を亡くされた米国の戦没者遺族に「我々は今も、戦争での悲しみ、恨みを忘れることはできない」と真珠湾での法要を拒絶され、やむなく真珠湾の見える丘で法要を行いました。
また、戦争を体験された存命の日系のご老人をお見舞いした折りには、「当時、中学生でしたが今でも零戦が飛来したことを鮮明に覚えています。当時は日本人がこのハワイには大勢移民し、大変苦労しながらやっとのことで生活をしているのに、なぜ、母国の日本が攻めてくるんだ！」と声を詰まらせ、また「その後は全員にスパイ容疑がかけられ、私たちは中学生にもかかわらず取り調べを受けたのです」とお話しをしてくださいました。
このハワイ訪問の企画はあるご門徒さんとの話しの中で「ご住職、こんど老人会のメンバーでハワイに観光に行くのですよ」とお聞きし、「それならば観光だけでなく、真珠湾攻撃で亡くなられた人々のためにお参りをされたらどうですか」といった会話の中、「それは良い考えですね。じゃあ住職も含めて戦争体験世代で出かけましょう」と言ったのがきっかけでした。
私も含め、参加されたご門徒の皆様も「平和が当たり前」になってしまったこの日本、そして次の世代に対して考えることの多いご縁となりました。
また、他宗派ですが、京都、六波羅蜜寺の川崎ご住職に「ご存知ですか、今の日本の復興と発展が早かったのは、アジアの国、特にタイ、スリランカの仏教国がサンフランシスコ講和条約で戦争賠償責任を『同じ仏教の国だから』と放棄をしてくださったのです。
北方領土返還の問題ももちろん大事ですが、仏教人はこれらの国と、その人々に恩返しをすることを忘れてはいけません。私は今、スリランカに洋裁の職業訓練校を作っているのですよ」と教えていただきました。
20年ほど前のことですが、この言葉が耳から離れず、その後、タイ奥地での小学校作りに参加をしたり、現在はスリランカでの幼児教育者の育成学校の設立に助力をさせていただいたりと、小さくても今の自分にできる範囲で実践をさせていただいています。
私は、縁があり寺に生まれましたが、一人の人間として煩悩の塊です。「贅沢も、楽もしたい、遊びもしたい、美味しいものも食べたい」、これが偽らざる気持と私の生活です。しかし、一点、ただ、「経を読む」ことを皆様のところへお届けするのでなく、「体験を通した仏教の実践」を皆様にお伝えし、私たちが自分の力の中で、少しでも長く続けられる「世の為、人の為の私の奉仕とは何か」を住職在職中、問いかけ続けて行きたいと強く念じております。

合掌