生まれてくるときも独り、逝くときも独り。
幸せは、この覚悟の上にある。
明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。
扨、昨年末、私の友人の医者が肺がんで亡くなりました。
医者の不摂生と言いますが、検診で見つかり僅か三ケ月後のことでした。お見舞いに行く機会もなくあっと言う間の旅立ちでした。
どんなに同情しようとも、私は彼の苦しみの一分たりとも代わって引き受けることはできませんでした。また、最愛の奥さんですらその苦しみは代わる事は出来ませんでした。
『仏説無量寿経』 に「独生独死独去独来(独り生まれ独り死し、独り去り独り来る)」と説かれています。「私たちは生まれるときも死ぬときも、ただ独りでその苦難と立ち向かわなければならない」という意味で、まさに自分の人生は、自分で歩くしかないと諭され、さらにこの一説のあとに、「身みずからこれを当くるに、代わるものあることなし」つまり、あなたの人生は、最愛の家族であろうとも代わって生きてもらうことはできないと説かれています。
人間は独りで生きていくことはできません。にもかかわらず、自分独りでしか自分の人生を歩む事はできません。この厳しい現実に直面するからこそ、人間は懸命になって人との出遇いを求め、仲間を求めるのではないのでしょうか。仲間や家族と手を携えて生きていこうと願うのではないでしょうか。
人生の幸せ、人との素晴らしい出遇い、そうした素晴らしい関わり合い、その幸せは、「お互いが独り」であることを厳しく認め合ったうえに成り立つものではないでしょうか。
そして「生まれてくるときも独り、逝くときも独り」、その事をしっかりと自覚して生きて行きたいものです。