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百万塔陀羅尼

掲載日: 記事No.57

先日のお盆の練習会で大変貴重なお経とその入れ物(仏塔)をご開帳いたしました。

そのお経は百万塔陀羅尼経と言います。1000年以上前に印刷され、その変わらぬ姿を今日に残す貴重なお経です。現在する中では、印刷された年代が明確な世界最古の印刷物とも言われます。

 

この百万塔陀羅尼は、奈良時代も終わりに近い764年(天平宝字8年)時の天皇であった孝謙天皇(後に称徳天皇)が国家安泰を願い、延命や除災を願う経文「無垢浄光陀羅尼経<むくじょうこうだらにきょう>」を100枚印刷させ、同時に作らせた木製の三重小塔100万基の中に納めて、法隆寺や東大寺など十大寺に分置したものです。この国家事業は「続日本紀<しょくにほんぎ>」に記録されており、そこには、770年(神護景雲4年)の完成まで5年8ヶ月を費やし、157名の技術者が関わったと記されています。

 

百万塔陀羅尼は、根本(こんぽん)、相輪(そうりん)、六度(りくど)自心印(じしんいん)、の四種類があり、版木に経文を彫って印刷した木版説と、銅板に文字を鋳造して印刷した銅凸版説の二説があり、そのどちらであるかは現在にいたってもわかっていません。現存するお経は東大寺にのみ保存されているといわれます。福田寺の百万塔陀羅尼経はその東大寺が昭和の大修復のおりに修復懇志金の御礼として配られたものを住職が求めたものです。仏教の歴史の貴重な資料の1つとして福田寺に大切に保管されています。

 

終戦記念日の今日、8月15日に北朝鮮のミサイル発射など恐ろしい問題が出ておりますが、この百万塔陀羅尼経に願われた様に世界が平和であって欲しいと祈っております。

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