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相対観からの解脱

掲載日: 記事No.84

少し難しいタイトルですが、私たちは、人種、男女にかかわらずほとんどの人が地位や名誉、財産などあらゆる問題を他の人と比較しながら「相対の基準」で生きています。

その結果、どうしても嫉妬心や憎しみなど様々な感情が生まれて、結果、自他をむしばんでしまいます。

ところが、比べることをやめることで「絶対最上」になると森信三先生はおっしゃっています。

「絶対最上」とは自分が尊い自身を天から与えられた唯一無二の最上の存在であることに気づくという事です。

天という仏様の大きな視点から見たら、自分は賢いと思っている人も、愚かだと思っている人も大した差はありません。このことを仏教ではこれを「賢愚一如けんぐいちにょ」と申します。

自分が絶対最上の存在、つまり世の中で比べる事の出来ないただ一人である考えれば、他人を気にすることなく、自分が為すべき務めを、ただ淡々と一所懸命にやりさえすれば良いと思えるはずです。

成功した多くの人が自分の経験を語る話しを聞きますとやはり人と比較する「相対観」で物事を判断する人は決して大成することがありません。今、開催中の冬季北京オリンピックでも同じ事、すなわち「自分との戦いです」と優勝した選手がコメントしています。

私たちはどうしても「人と比較する自分」という小さな枠に囚われてしまって、大きな視野を見失ってしまうのです。反対に、私利私欲を捨ててでも社会全体をよくしていこうという大欲を持つ人材の中にこそ真に大成する人物がいると言ってもよいでしょう。

私たち大人はこれからの小さなお子様の教育、育て方に確固ととした「絶対最上」の人づくりに努力しなければならないと切に願います。

 

*森信三 1896年、愛知県半田市に生まれる。

「人生二度なし」の真理を根本信条とし、「全一学」という学問を提唱した。「全一学」とは、「東西の世界観の切点を希求するもの」「宇宙間に遍満する絶対的全一生命の自証の学」「世界観と人生観との統一の学」など12項目以上の定義にもとづくもので、要約すると「宇宙の哲理と人間の生き方を探求する学問」となる。森はこれらの思想をもとに全国各地で講演を行なうとともに自ら実践を重ね、日本民族再生に大きく働きかけた。

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